あゆみ

限られた予算の中で

高校生の頃、体育祭で実行委員になり、会計を担当しました。
衣装やデコレーションの製作費は無限大ではなく、限られた予算の中で、いかに良いものを作るか。苦労して出したアイディアを実現させるために、必要なものを購入し、無駄を省く。目に見えない苦労が裏方にはありました。団長や副団長のような表舞台の友人も、「成功に導いたのは会計のおかげである」と認めてくれました。

国税組織への感謝

税理士に憧れたのも、高校生の頃の思い出がきっかけとなり、大学生の頃に税理士試験を受験しています。
就職活動の一環で受験した国税専門官採用試験に合格し、名古屋国税局から採用通知をいただきました。以来31年間、国税局・税務署でお世話になりました。様々な経験をさせていただき、感謝しています。

経営者の苦悩を感じて

法人税調査を中心に、調査事務に携わることで、様々な業種の経営者の方々と直接接する機会に恵まれ、利益を出すことも重要ですが、資金を回すことが経営者の大きな悩みだと教えてもらいました。
徴収事務に接する機会には、黒字倒産となる企業もあり、資金繰りに悩みを抱える経営者がいる現実を見てきました。

「節税」という言葉への疑問

一般的に節税を税理士に求める方々が多く、人によっては「それは脱税でしょう?」と言わんばかりの処理を求められることがあるとお聞きします。
税理士は、税法の下で「納税額のミニマム化」を図り、顧問先へお金を手元に残せるようにサポートする。法に沿った処理を行い、納税額をミニマム化する。
節税を求めすぎ、不必要な出費をさせることは、顧問先のためになるのだろうか。
税理士に求められる「節税」は、何を意味するのだろうと。
大切なことは、節税よりも「資金繰り」ではないだろうか。

ジレンマ

そんな疑問を持ちながら、国税の組織の中で管理職を任されてきました。管理職になり、組織運営に比重を置く業務が増え、自分の仕事に対するスタンス(会計に接することにより生まれる社会貢献)と組織の事情との間で板挟みになることが増え、どこかで自分の思いと折り合いをつけなければならない瞬間が多々ありました。
ジレンマが続き、「私は私のやり方でもっと社会と向き合いたい」、「中小企業の経営者の方と向き合っていきたい」という思いが強くなったことで、早期退職という決断に至りました。

複雑な日本の税制の中で

複雑な日本の税制の中で 日本の税制は非常に複雑で、それを翻訳してくれる人が必要です。税制に加えて、その周辺知識も分かり易く伝えてくれる役割、情報を取捨選択して提供してくれる役割、もしかしたらただ横にいて経営上の不安をサポートしてくれるという役割になり、税理士としての期待に応えたいと強く感じています。
これまで国税で経験してきた経験と知識をご活用していただき、皆様のために残る人生を過ごさせてください。

鶴味噌の活力

家族で仕込んだ手作り味噌(鶴味噌)を味わう。
米麹の甘い薫りが体中を駆け巡り、今日の活力にかわる魔法のお味噌汁だった。
蒸した大豆に米麹・塩を加えて仕込んでいく。大豆を潰す手間ヒマをかけ、鶴味噌の原型を作り出す。仕込んだ鶴味噌を家族の一員に迎い入れ、じっくり育てる。クサる、カビる、そんな時もあった。表面はスプーンですくい治療する。樽の中でもがいている様には手を出さない。じっと見守る。気温・環境によっても、味わいが変化する。
毎日、声を掛け、少しの変化に家族と一喜一憂する。通り過ぎた日を振り返り、眺めてみる。怒っていたり、笑っていたり、心の窓をそっと覗けば、忘れかけたものが染み出てきた。
鶴味噌の味噌汁を飲みながら「学生の頃に憧れたものを追いかけてみたい」と家族に打ち明けた。いまの給料を投げ出すというのに「好きにしていいよ」と笑顔だった。
今日も魔法の味噌汁が食卓に並ぶ。さぁ帰ろう。ほんとの自分へ帰ろうよとささやいている。
新任職員として現場着任してから31年経過した。果たしてどんな味噌ができたのか。どんな味わいを醸し出せるのだろうか。
さあ召し上がれ。

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